活動内容
地域の課題を見える形に!~ステークホルダーミーティング開催レポート~
2026年1月18日(日)、長浜市のえきまちテラスにて「エネシフ湖北/ともすラボ ステークホルダーミーティング」が開催されました。

エネシフ湖北代表の清水さんは、当日体調不良のため、オンラインで参加です。(卒業写真風に写真を入れておきました笑)
当日は、地域内外からさまざまな立場の人が集まり、地域が抱える課題を「見える形」で捉え直す、新しい取り組みを紹介しました。
今回のミーティングで中心となったのは、琵琶湖環境科学研究センターの専門研究員であり、地域づくりにも携わる木村道徳さんです。

木村さんが紹介したのは、「ステークホルダーシナリオ」という考え方です。
「ステークホルダーシナリオ」とは
ステークホルダーとは、ある活動や取り組みに、直接または間接的に関わる人たちのことを指します。
企業の取り組みではよく使われる考え方ですが、今回はこれをまちづくりに応用。
事前に地域に関わる方々へヒアリングを実施し、
「どんな立場の人が、どんな思いや困りごとを抱えているのか、そしてそれらの課題がどのようにつながっているのか」を整理し、共有しました。
今回ヒアリングを行ったのは、地域課題に取り組む企業や社会福祉協議会の職員、地域に暮らす住民など、湖北地域に暮らす様々な立場の15名。一人ひとりの声を重ねることで、地域の現状を多方面から捉えようとする試みです。
地域の課題を「見える化」する地域課題マップ
会場のスクリーンに映し出されたのは、「地域課題マップ」と呼ばれる図です。

一見すると複雑に線が張り巡らされ、かなり複雑に見えますが、
よく見ると…、
・大きな丸:多くの課題と関係する重要な要素
・小さな丸:個別の出来事や要因
・色分け:同じテーマでつながる話題
といった工夫がされていることがわかります。

これは、湖北地域に住む15名からヒアリングした内容をもとに、「地域の困りごとが、どのようにつながっているのか」を表したものです。
スクリーンにマップが映し出されると、自然と参加者が前に集まり、画面をのぞき込みながら指をさして話し合う姿が見られました。

「この問題がきっかけになっていそうですね」「このつながり、確かに思い当たる」といった声も上がります。
湖北地域に住む方の参加も多かったので、マップを囲みながら地域の話題をきっかけに、参加者同士の会話が広がっていたのが印象的でした。
それぞれ別の立場から語られていた話が、実は同じテーマにつながっているんだという気付きが生まれる時間となりました。
遺伝子解析ソフトを、まちづくりへ応用
実は、このマップづくりに使われているのは、もともと遺伝子のつながりを分析するためのソフトだそうです。

木村さんは、病気が一つの原因だけで起こるのではなく、複数の要因が重なって発症するように、地域の課題もまた、いくつもの要素が重なり合って生まれるのだと話します。
たとえば「耕作放棄地が増えている」という一つの出来事も、その背景をたどっていくと、
・農家の高齢化
・後継者不足
・人口減少
・価格競争の厳しさ
など、さまざまな要因が絡み合っていることが見えてきます。
参加者からは、「地域の課題を病気の“症状”だとすると、まちづくりは“医学的アプローチ”に近いのではないか。なぜこの症状が出ているのか、地域の構造まで問診する視点が必要」との意見も上がりました。

この言葉に木村さんは「遺伝子解析ソフトを使っている意図は、まさにそこにある」と共感。
「対話を通じて、さらに多くの人の意見を反映させ、地域の課題をより正確に診断するコミュニケーションツールになれば」と話します。
「課題マップ」から「可能性マップ」へ
今回のマップは、ヒアリング内容をそのまま反映しているため、「課題が多く見える」という意見もありました。
一方で、マップを見ながら話が進むにつれて、参加者からは、「ここは解決できそう」「これは地域の強みでは?」「すでに地域で、取り組んでいる人がいる」といった前向きな意見も次々に出てきます!

課題だけでなく、すでにある取り組みや人の動きに目を向けることで、このマップは「可能性が見える地図」に変わっていくのではないか。そんな声も聞かれました。
木村さんは、「このマップを完成形の資料とするのではなく、対話を重ねながら育てていきたい」と語ります。
様々な分野への応用も視野に
ステークホルダーマップを活用した取り組みは、まちづくりだけに限らず、さまざまな場面で活かせるのではないかという話題でも盛り上がりました。
地域の郷土史や過去のインタビュー記録をAIに学習させることで、高校生が地域の歴史を調べたり、より深く理解したりするための「地域特化型AI」として使えそう、というアイデアも。
また、意見が分かれやすい話し合いの場でも、このマップがあれば、それぞれの考えを整理しながら共有できるのではないか、という声も上がりました。
参加者がそれぞれの立場で「自分ならどんな場面で使えそうか」と想像をふくらませていた様子からも、ステークホルダーシナリオという手法そのものへの関心の高さがうかがえる場となっていました!

様々な立場の人が大勢集まるワークショップの場で活用することで、より具体的なテーマについて話を深めていけるのではないかといった期待も寄せられました。
「身近な課題」から取り組むこと
エネシフ湖北がこれまで取り組んできたキーワードに、「脱炭素 × ○○」があります。
地球温暖化やCO₂削減といった大きなテーマは、日常の中で意識し続けることは簡単ではありません。
しかし、それを「自分たちの身近な困りごと」に置き換えてみると、その先に環境の問題がつながっていることも多くあります。

久木さんは「環境問題だけを追いかけるのではなく、暮らしの中にある課題を一つひとつ解いていくことが、結果として脱炭素や持続可能な地域づくりにつながることを目指しています」と話します。
今回のステークホルダーマップは、そうした身近な課題を参加者皆で共有する第一歩となる時間でした。
終了時間が過ぎたあとも、画面の前でマップを見ながら話し込む姿が見られました。

この取り組みから、これからどんな実践が生まれていくのか。
エネシフ湖北/ともすラボの次の展開に、期待が高まる一日となりました!

滋賀県を拠点に活動するライター。地域の“おもしろいこと”や、暮らしの中にある小さな発見を日々探究中。人とのつながりを大切に、思いを言葉にして届けることを心がけています。











